床を拭こうと手を動かす度に腰もつられ男性の目前で恥穴と秘部を揺らしてしまう。
あまりの羞恥で呼吸には艶やかな甘さが混ざり出す。
それを意識すればするほど欲情を昂らせてしまい身体が勝手に反応してしまう。
男性の目前で。
恥穴や秘部がひくひくと。
まるで満たされない“何か”をその中へ欲しているかのように。

「え、え~と……んん。どうしよっか……ぁ……な。
……ぅん……拭くのはこれくらいで……いいかな?」

独り言をぶつぶつと溢す柚花。
その声を聞いただけで登り始めていることがわかる。
このままではまた、柚花は見知らぬ人の前で──というか本当に目の前で絶頂に達してしまうのか?
そんな近くでは私も見たことが無いのに。

だから私は、誰とはなしに投げられた「いいかな?」という柚花の疑問を拾ってしまう。
この疑問に対し「もう大丈夫じゃない?」と返せばこの空間を終わりにすることが出来る。
もう柚花はやり過ぎている。
水着の試着だけでなく、細い紐でしか隠されていない卑猥な姿まで晒しているのだから。
その上、間近で絶頂まで見せてしまう事など……

たぶん柚花は自分で制御が出来なくなりここまで来てしまったのだろう。
そんな時は私が柚花を助けなければならない。
闇に飲まれた愛する人を救えるのは私だけなのだから。

だから私は柚花の疑問に答えを返す。

「ちゃんと綺麗に拭けてそう?
もう少し視線を下げて確認しなくても大丈夫?」

この状況を止めなければならない私が投げたのは柚花への問い。
もう床は綺麗なのか、もっと確認が必要ではないのか──いや、違う。
私が柚花へ投げかけたのは……


もう、満足したのか?
それとも、もっと見て欲しいではないのか?


私がこの問いを投げた時点で柚花の答えはわかっている。
そして柚花も私からこの問いが投げられた時点で理解いる。
自分の出した答えが許される事を。

故に柚花は選んだ。
私を地獄へ落とす答えを。

「うん。大丈夫かな」

「えっ?」

予想外の答えについ疑問が声として出てしまう。
間違いなく柚花は確認が必要と答え、更なる恥態を男性に晒すものだと思っていた。
それなのにもう終わりでいいらしい。
ここまで恥態を晒せば十分ではあるが、終わりは予想に反し呆気なくやって来た。

「本当にありがとうございます」

カウンタードアが再び開き、正座で男性と向き合った柚花がお礼を言っている。

「借りたティッシュのお陰で床を拭くことが出来ました」

「あ、いえ、そんな大した事では」

突然終わりが訪れてしまった男性の言葉も何処かたどたどしい。
あまりにも卑猥過ぎる光景が終わった事への安堵なのか、それとも期待が消えてしまった落胆なのか。

「それで……」

完全に終わりを告げたこの空間にポトリと落ちる柚花の言葉。

「お願いついでに、もう少し頼みたいことがあるんですけど…………ダメですか?」

まさかの展開。
潤む瞳で男性の顔を覗き込みお願いをする柚花。
自らアンコールを告げると、再び地獄の幕が上がってしまった。

「だ、大丈夫だと……思いますが」

「それでは試着も終ったので着替えたいんですけど……」

再び始まった柚花のショー。
しかし一度落ち着いてしまった私の心は目の前の展開についていけない。

「恥ずかしながら水着が……ボトムの方が、その…………濡れてまして」

それは試着室の前でしゃがんだままの男性も同じ。
目の前でモジモジと紡ぐ柚花の声を、耳に入れるだけで精一杯になっている。

「着替えるのに脱いだボトムを床に置くと……せっかく拭いたのにまた…………濡れてしまうので」

完全に小悪魔が演じている可憐な女性。
そうとわかっていても、柚花の様にどんな男も逆らうことは出来ない。

「脱いだボトムを持っててもらえますか?」

やっと安堵で無防備になっていた私の意識がこの状況に追い付いてきた。
一度は終わりを見せた柚花の暴走。
そして新たに始まる柚花のお願い。

一時的に水着を持つだけならば問題は……ない。
たとえその水着が脱ぎたてホカホカで、しかも脱いだ本人が目の前で恥ずかしさに瞳を濡らしていようとも。
しかし、水着を穿いているのが今の柚花となれば話しは変わってくる。
試着と称して下着姿を男達に晒し、目の前の男性に至っては見せてはいけないほぼ全を息のかかる近さで見せてしまった。

そんな柚花の穿いていたボトム。
股下からお尻にかけて紐になっているそのボトムは間違いなく柚花の割れ目に食い込んでいた。
過度な恥態を晒すことでドロドロに恥液を溢れさせていた割れ目に。

それを柚花は男性に持っていて欲しいと言っている。
この羞恥ショーの象徴でもあるボトムを……


男性の返事を待たずに柚花が立ち上がる。
そしてカウンタードアの向こうで腰に手をあて前屈みになりながら右足を持ち上げた。

「ではこれをお願いします」

しゃがんだままの男性。
今になって気付いたが、カウンタードアの下から試着室の中を覗き込める男性には一体何が見えるのだろうか?
水着を脱いでしまった柚花はドアの向こう側で下半身を露出したまま何も身に付けていない。
男ならば中を覗くチャンス。
きっと周りの男性達はそう思っているだろう。
しかしチャンスが巡って来ているはずの男性にそんな余裕は残されていなかった。
目の前で繰り広げられた衝撃は私よりもダメージが大きかったのか、未だにさ迷う男性の魂は体に戻っていない。

だから柚花の言葉にも意識を通さず体が反応してしまう。
脱いだボトムをカウンタードアの上から差し出す柚花。
ただの布ではなく、ズッシリとした重みを感じさせるボトムに他の男性達は食い入るような視線を送る。
でも男性は何処か上の空。
自分がこれから触れる物の事も考えずに、両方の手のひらで受け取ろうと待ち構えてしまう。

「んっ」

一瞬、柚花の顔に戸惑いが浮かんだ。
渡すのはズッシリと恥液が染み込んだボトム。
それを受け取るのなら濡れていない箇所を掴んでくれると思っていたから。
それなのに男性は手のひらを差し出してしまう。
この上に置くようにと。
決して男性はわざとではない。
ただ魂が抜かれた状態で差し出された物を受け取ろうと、何も考えられない状態で取った行動なだけ。

男性が受け取ろうとしている脱ぎたてのボトム。
ここにいる誰もがあのボトムを触ってみたいと思っている。
果して柚花の温もりは残っているのか?
そして紐の所にはどれ程の恥液が絡み付いているのか?

その夢のような水着を男性はその手に……

「えっ? あ…………え、あっ……」

柚花が広げられた手のひらにボトムを乗せた途端パニックを起こす男性。
完全に挙動がおかしくなり、そして……正気を取り戻した。

「あの~。これ、もらっても……」

「ごめんなさい。それはダメです」

パニックが解け正気に戻りすぎたのか、願望がそのまま口から出てしまった男性。
だが、当然ながらそんなこと許される訳もなく男性の言葉が終わらないうちに柚花は駄目と言ってしまう。
でも決して柚花はとんでもないお願いをしてきた男性に対し怒っている訳ではない。
少し早いタイミングで駄目と言ってしまったのは恥ずかしいから。
自らの意思で恥態を晒したくせに、それが男性の物になると意識した途端に純粋な乙女心が顔を覗かせてしまった。

「そうですよね」

「………………そんなに……欲しいですか?」

断られるのが当たり前の事なのに、自分に素直になり過ぎてしまった男性は、心の底の悲しさを吐き出してしまったかのように落胆してしまう。
その姿に乙女心に続いて天使の柚花まで顔を出すと、悲しむ男性に同情し始めてしまう。

ここにきて二人の精神状態が少しおかしい。
片やパニックが解けたと思ったら振り切り過ぎて、心の様を素直に口に出すようになってしまった男性。
そしてもう片方の小悪魔は心が清純で満たされ、天使のように慈悲深くなっている。

おかしな精神状態で噛み合ってしまった2人。
その会話も変な方向へ流れていく。

「あ、はい。とても可愛い方だなと。それに……凄い濡れているので」

「……濡れてるは、恥ずかしい……かな。
でも、褒めていただいたのは、その……嬉しいです。
あ、ありがとうございます」

「…………」

「………………」

「それじゃ……」

「それはあげられませんが…………
私の代わりに……その、濡れている所を…………拭いてもらえますか?」

「えっ! それって?」

「やっぱり嫌でしょうか?」

「とんでもない! 是非とも。出来れば僕の……ハンカチで拭いても……いいですか?
あっ! 使っていないので綺麗です」

(これは……)

もう、床は拭き終えている。
あと濡れている所といえば男性の持つ柚花のボトムと……

未だ恥液がヌラめく柚花の秘部。

柚花はそこを男性に拭かせようというのか?
たぶん既に柚花の秘部は欲情で微かに開き、陰核も被る皮から顔を出しているはず。
そんな所を男性に拭かれたら直接的な快楽と羞恥による精神の昂りで、逝かされてしまうのは目に見えている。

「はい。拭いていただけるのであれば」

それでも柚花は了承してしまった。
ハンカチ越しの感覚は男性の手に何処まで秘部の形状を伝えてしまうのだろうか?
男性がポケットから取り出したのは、ごく普通の4つ折りにされたハンカチ。
重ねられた生地の厚さとあまり発達していない柚花の秘部ならば、ただ肌をなぞる程度にしか感じられないと思うのだが。


「それではそこに座ってもらえますか?
流石に見えちゃうと恥ずかしいので出来れば背中を向けてていただけると嬉しいのですが」

「はい。もちろん」

男性は柚花に言われた通り試着室前の階段に腰をおろす。
カウンタードアの向こうにはボトムを脱いで今は何も穿いていない柚花。
剥き出しの下半身はふとももの中ほどまでしかカウンタードアでは隠せておらず、下から覗こうと思えば簡単に無毛の割れ目を見られてしまう。
そんな危うい状況にも関わらず、まだ見られていないと安堵を感じてしまう私の精神は完全に小悪魔の支配下に置かれていた。

「少し待ってくださいね」

何か準備があるのか、俯きお腹の辺りでゴソゴソと手を動かす柚花。
カウンタードアが壁になり何をしているのかはわからないが、私はてっきり男性に拭かれる前に秘部の状況を確認しているのかと思っていた。

しかし私の予想はハズレたらしい。
それを告げるように振るえるのは私のスマホ。
画面にはビデオ通話の着信を伝える文字。
何故このタイミングで。
柚花は私に何を伝えようとしているのか?
そんな事はわかりきっている。
この状況で柚花が──いや、小悪魔が私にしようとしているのは男性に秘部を拭かれる瞬間。
ハンカチで秘部を撫でられる様をスマホで生中継しようといている。

「それでは腕だけこっちに伸ばして下から中に入れてもらえますか?
あ、ハンカチもお願いしますね♪」

誠実な男性は柚花の言い付けどおり顔を試着室に向けないよう気を付けながら、ハンカチを持った右腕を伸ばす。
そしてカウンタードアの下から試着室の中へと恐る恐る差し入れた。

それは私が肉眼で目にした光景。
試着室の外から見ることが出来る限界。
でもスマホの中には……

見える世界を切り替えた先に映るのは試着室の中の空間。
たぶん胸の辺りから見下ろす様に撮っているのか、試着室の床と柚花の身体──背徳感を抱かせる無垢な割れ目とふともも──がスマホの画面に映し出されている。
その試着室の中にハンカチを握った手が恐る恐る現れると柚花が慌てて半歩後ろへ下がった。

「それでは私が手を動かしますので綺麗に拭いて下さいね」

言葉どおり男性の手首を掴み半歩前に出る柚花。
もうハンカチがふとももの目前にまで迫っている。
このまま内もも撫で上げ秘部を拭く。
4つ折りの生地越しに柚花は大切な場所を触られてしまう。


…………と私は……思っていた。


(何を?)

私の予想を裏切る小悪魔の行動。
掴んでいた男性の手首を離し握るハンカチを取り上げてしまう。
そしてハンカチの端を摘まむと器用に片手で4つ折りの布を広げてしまった。

ハンカチを奪われ危うく柚花の方へ振り向きそうになる男性。
その男性を安心させるつもりなのか、スマホの中の柚花は呆気に取られたまま固まる手のひらへハンカチを再び乗せる。

4つ折りの布を広げたままで。
ハンカチの厚さは4分の1になってしまうのに。
そんな薄い生地では間違いなく溢れる恥液が手のひらまで染みてしまう。
そして間違いなく男性の手には柚花の秘部の凹凸が、ぷっくりと膨らむ陰核の形まで伝わってしまうというのに。


試着室の前にしゃがむ男性が驚きの顔を見せた。
何故なら自分の手が柔らかな何かに触れたから。

柚花のふとももを上へ上へと登っていく男性の手のひら。
もちろんそれは男性の意思ではなく柚花の意思。
男性の手首を自ら操り他者が触れることの許されない内ももを這わせていく。

試着室という密室。
羞恥で蒸れる柚花の身体。
汗ばむ内ももに手を差し入れればハンカチに包まれていたとしても柚花の熱気が伝わってしまう。

しかも内ももを這い上がるにつれ熱気は湿り気へと変化し、やがて男性の手がふとももの付け根に達っする頃には、もはや湿り気ではなく明らかに液体とわかる染み出た粘液が男性の指を濡らしてしまう。

わかっていた事だが、スマホに映る試着室の光景が私の精神を問答無用に削っていく。
あの柔らかなふとももに。
胸の膨らみと同じくらい蕩けるような肌触りの内ももに。
触られる事の無いはずの足の付け根にまで男性の手のひらが届いている。
そして染み出た柚花の恥態の証は男性の指の間までしっとりと濡らしている。

これ以上、男性の手が進めなくなったところで柚花が一歩後ろへ下がった。
これ迄はあくまで内ももに溢れた恥液を拭いただけ。
それでも男性の手のひらに乗せられている紺のハンカチは、濡れていることを示すようにその色を濃くしている。

もう終わりにしてもいいのではないか。
男性も柚花の恥液が染み込んだハンカチを手に入れられるのだから満足しているはず。
だから今以上の恥態を晒す事は必要ない。
背徳的な遊びとしては十分に楽しめたはず。

でも…………

小悪魔はまだ拭かなければならない箇所が残っているらしい。
男性が満足したなら、もう自分で拭いても問題ないはずなのに……というか本来ならば他の男に拭かせてはならないはずなのに。

スマホに映る向こう側。
スマホの中で柚花が再び動き出した。

ふとももを這い上がっていたため縦を向いていた男性の手のひらを水平にし少し下げる。
そして肩幅まで自分の足を広げると、男性の手のひらを跨ぐように一歩前へと歩を進めた。


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